2012/06/21 (Thu) 20:09
このブログを観てくれている方のなかには、漆塗りやウッドターニングの調べ物中に検索ヒットし、ご覧になってる方も結構多いようです。
そんな方々に少しでもお役に立てればと思い、あくまでも独学研究の知識ですが、詳しく書いてみます。
興味のない方にはどーでもいーー話になりますので、ご了承を。
ちょうど、メンテナンスの話をしてたところに、お椀の塗り直しのご依頼がありました。
写真のように、漆がはげてしまっています。
これは、塗り椀の典型的な症状で、お箸やスプーンの先端で椀の底をつついて傷つけてしまい、そこから漆の層と木地との間に隙間ができ、水分が進入して漆の層がめくれ上がってしまうのです。
めくれ上がった部分をよく見てみると、木地と漆の密着が良くないことがわかります。
なぜ、密着がわるいのか?
どんな樹種でも、木の繊維はそうとう細かいです。ミクロかナノか、それくらい細かいです。
その繊維に漆を浸透させていなければ、上塗りにどんな漆を塗っても、収縮率の違いで木地と漆層は剥離してしまうでしょう。
この椀の場合、黒い漆が塗られていますが、透明感が全くないので、くろめ漆(天日でじっくり水分を抜き、酸化させて黒くした漆)ではなく、生漆に鉄分を混ぜ酸化させたものか、黒い顔料を混ぜたものだと思います。または、カシュー塗料か。。。
くろめ漆も含め、上記の漆の粒度(粘度)は大きくて、木地にへばりつくが、浸透はしないので、ちょっとしたキズから水分が入り、剥離してしまいます。
こうならないためにも、ボクの方法は、塗り始めは生漆をテレピン油で薄めたものをしっかりと染み込ませています。「もう吸い込めません!」と木地が言うまで。これが大事です。
しっかり乾燥したところで2回目は、希釈量を少なくし「もう吸い込めません!」まで。
3〜4回目くらいに生漆を摺り込むようにしています。
その上から、錆び漆をつけ、さらに生漆を摺り込みます。
この工程をはしょると、結果、長く使えるものはできません。
また次の機会に、木地と錆び漆の関係性について書こうと思います。
ではでは。
そんな方々に少しでもお役に立てればと思い、あくまでも独学研究の知識ですが、詳しく書いてみます。
興味のない方にはどーでもいーー話になりますので、ご了承を。
ちょうど、メンテナンスの話をしてたところに、お椀の塗り直しのご依頼がありました。
写真のように、漆がはげてしまっています。
これは、塗り椀の典型的な症状で、お箸やスプーンの先端で椀の底をつついて傷つけてしまい、そこから漆の層と木地との間に隙間ができ、水分が進入して漆の層がめくれ上がってしまうのです。
めくれ上がった部分をよく見てみると、木地と漆の密着が良くないことがわかります。
なぜ、密着がわるいのか?
どんな樹種でも、木の繊維はそうとう細かいです。ミクロかナノか、それくらい細かいです。
その繊維に漆を浸透させていなければ、上塗りにどんな漆を塗っても、収縮率の違いで木地と漆層は剥離してしまうでしょう。
この椀の場合、黒い漆が塗られていますが、透明感が全くないので、くろめ漆(天日でじっくり水分を抜き、酸化させて黒くした漆)ではなく、生漆に鉄分を混ぜ酸化させたものか、黒い顔料を混ぜたものだと思います。または、カシュー塗料か。。。
くろめ漆も含め、上記の漆の粒度(粘度)は大きくて、木地にへばりつくが、浸透はしないので、ちょっとしたキズから水分が入り、剥離してしまいます。
こうならないためにも、ボクの方法は、塗り始めは生漆をテレピン油で薄めたものをしっかりと染み込ませています。「もう吸い込めません!」と木地が言うまで。これが大事です。
しっかり乾燥したところで2回目は、希釈量を少なくし「もう吸い込めません!」まで。
3〜4回目くらいに生漆を摺り込むようにしています。
その上から、錆び漆をつけ、さらに生漆を摺り込みます。
この工程をはしょると、結果、長く使えるものはできません。
また次の機会に、木地と錆び漆の関係性について書こうと思います。
ではでは。
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